音楽経験ゼロからボカロPになるには? 最低限必要な技術と機材

ボカロPの多くはひとりで「作詞・作曲・編曲」をこなしています。中には、サウンドを聴きやすく整える「ミキシング・マスタリング」と呼ばれる作業や「動画制作・イラスト制作」などの作業も自身で行うボカロPもいます。

このように、ボカロPに必要な技能は複雑多岐にわたり、それらすべてを習得するためには、気が遠くなるほどの時間と労力がかかってしまいます。なのでまずは、楽曲制作の三本柱「作詞・作曲・編曲」の習得からはじめましょう!

この記事では、ボカロP歴15年の私の経験をもとに、ボカロPを目指すにあたって最低限これだけは押さえてほしいポイントをまとめました。

どの内容も一朝一夕で身に着けられることではありませんが、どれも必要不可欠な技術です。少しづつでいいので、毎日取り組んでみてください。必ず曲が作れるようになります!

目次

①楽譜を読めるようになろう!

「メロディ譜」と呼ばれる楽譜

作曲や編曲を行う上で不可欠なのが、和声(コード進行)や音程、音階などのいわゆる音楽理論と呼ばれる知識です。これらを理解するためには、まず「楽譜がスラスラ読める」というのが最低条件です。なぜなら、音楽理論の解説は、本にせよYouTube動画にせよ、必ず楽譜を使って行われるからです。

楽譜の読み方はみなさん義務教育(音楽の授業)で習っているはずですが、日常的に接していない方は完全に忘れていると思います。ぜひ今日から楽譜を読む習慣をつけてください。

コード(和音)を覚えよう!

白鍵をルートとするメジャーコード

さて、楽譜はドレミ(音符)さえ読めるようになればいい、というわけではありません。それ以上に重要なのがコード(和音)に関する知識です。

多くの場合、楽譜の上にはコードと呼ばれるアルファベットが記載されています(CとかDとか)。これはその箇所で演奏すべき3つまたは4つの音を端的に示しており、たとえばCならドミソ、Dならレファ#ラを左手で押さえてねという意味です。

コードは無数に存在し(100種類以上)ますが、法則性さえ理解すれば難しいことはありません。

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詳細は以下の記事で解説しています!

作曲はメロディを考えるだけだと思われがちですが、実際には伴奏となるコード(和音)も同時につけていきます。さらに、この先コード進行などの音楽理論を学んでいく上でも、コードの知識は不可欠と言えます。

最終的にはコードを見た瞬間にその構成音がパッと押さえられるレベルを目指しましょう。

②ピアノを弾けるようになろう!

ピアノを弾く筆者


それと並行して進めていただきたいのが、「楽器演奏の習得」です。特にオススメしているのがピアノ(キーボード)です。

とはいえ、ベートーベンやショパンのようなクラシックが演奏できるほどの本格的な腕前は不要。右手でメロディが弾けて、左手でコードを押さえられれば十分です。安価な電子ピアノと楽譜を用意して継続的に練習すれば独学でマスターできますから、ピアノ教室に通う必要もありません。

ピアノが弾けるメリット

DAW(Studio One)の作業画面

ピアノが弾けると、作曲はもちろん編曲(アレンジ)の際にも非常に役に立ちます。楽曲制作は一般的にDAW(作曲ソフト)と呼ばれるソフトウェアを使います。ここに音符を入力する際に使用するのがMIDIキーボードと呼ばれる機材です。

こういうデータはマウスじゃ打ち込めない

もちろん、マウスで打ち込むことも不可能ではありませんし、実際そうやって曲を作っている方もいます。しかし、この方法は非常に時間がかかる上、不自然な演奏となってしまいやすいため、曲のクオリティが下がります。

もし、MIDIキーボードを使いこなすことができれば、リアルな演奏データを素早く打ち込むことができます。完成度の高い曲を作るため、ぜひマスターしておきたい技術です。

③メロディを作ってみよう!

さて、ここまでは曲を作るためのいわば下準備に過ぎません。いよいよ作曲の核である「メロディ」を作ってみましょう。

先述のとおり、作曲はメロディとコードでセットです。しかし、一般的に推奨されている「メロディにコードをつける方法」は、音楽理論を熟知していない初心者にとっては、不自然なコード進行の曲になってしまいやすいため不向きです。

そこで私は発想を逆転させて、「コードにメロディをつける方法」をオススメしています。この方法であれば、一番難しいコード進行を考える必要がないうえ、耳に残りやすいキャッチ―なメロディが自然と生まれます。

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詳細は以下の記事で解説しています!

メロディが思いつかない場合は、知らない曲をたくさん聴くなどして脳に刺激を与えてみましょう。

④DTM機材を用意しよう!

パソコン

パソコン(PC)はDTMにおいてもっとも重要なアイテムといっても過言ではありません。では、DTMに適したパソコンとは一体どのようなものでしょうか?

様々なメーカーから数多くの機種が販売されており、初心者の方は迷ってしまうと思います。そこで、私がオススメするのは「Windows搭載ミドルスペック(10~15万円)デスクトップPCをBTOで買う」というものです。

DAWソフト

DAW(Studio One)の作業画面

DAW(ディーエーダブル/ダウ)とは、Digital Audio Workstationの略称で、音楽制作に必要な録音・編集・ミキシング・マスタリング、そのすべての中核を担う重要なソフトウェアです。代表的なものに、Cubase、Studio One、Ableton Live、Logic Pro、FL Studioなどがあります。

DAWは、単体で購入すると数万円することもありますが、これから紹介するオーディオインターフェイスやMIDIキーボードに付属するため、わざわざ購入する必要はありません。

オーディオインターフェイス

オーディオインターフェイスとは、音声を正確に再生・録音するために不可欠なデバイスです。これがあれば、パソコンに標準搭載されているイヤホンジャックやマイクジャックとは、比べ物にならないレベルの高音質で再生や録音が行えます。

価格はピンキリですが、初心者用モデルは1~2万円で購入可能です。しかも、そのラインのオーディオインターフェイスは、DAWやソフト音源などがオマケとして付属する場合が多いので、かなりお買い得だと考えます。

ソフト音源

ソフト音源とは、DAWソフト内で使用できる音源です。ソフト音源は大別すると、ギターやドラムなどそれぞれの楽器に特化した専門音源、あらゆる楽器をカバーした総合音源に分けられます。

ソフト音源は、マウスによるクリックでも音を出すことはできますが、きちんとした演奏を行うためには、さきほど紹介したMIDIキーボードがあると便利です。

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まとめ

いかがでしたか?

ボカロP歴15年の私の経験をもとに、ボカロPを目指すにあたって最低限これだけは押さえてほしいポイントをまとめました。これが全部できてようやくスタート地点に立てるのです。

たぶん①~③だけで数年かかってしまうと思います。しかし、みなさんが知っているボカロPは、ほぼ例外なくこういった長いルートをたどって楽曲制作をマスターしてきた人たちなのです。

大事なのは、この過程を「大変」ではなく「楽しい」と思えるかどうかです。明日ではなく今日から始めましょう。数年後のあなたは必ず曲が作れるようになっているはずです!

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