Ado「うっせぇわ」やYOASOBI「夜に駆ける」など、近年のヒットチャートをにぎわせている楽曲には、特有の“ある共通点”があります。
今回は、そんなヒット曲たちをコード進行の観点から分析していきたいと思います!
丸の内進行とは
1999年に発表された椎名林檎の「丸ノ内サディスティック」で使われ有名になったことから、「丸の内進行」または「丸サ進行」と呼ばれ、親しまれているコード進行です。
手っ取り早くオシャレ感が出せ、J-POPに限らず世界中で特にR&B系の楽曲でよく使われる進行です。
コード分析
|F |E |Am |C |
|Ⅳ |Ⅲ |Ⅵm |Ⅰ |
丸の内進行のポイントは、何といっても2小節目のEです!
EはAmに対してのセカンダリードミナントであり、絶妙な哀愁を感じさせてくれます。
くわしくは以下の記事で解説しています。
補足
1998年に発表されたm-floの2ndシングル「been so long」は、丸の内進行のみで構成された楽曲です。ループしているだけでも心地よいと感じさせてしまうのも丸の内進行の魅力と言えそうです。
ネット上での異常な人気
さて、ここからが本題です。
最初に例として挙げた2曲に限らず、近年のネット音楽シーンにおいて、この丸の内進行は「使われすぎ」と言っていいほど多用されています。
考察
ボカロ曲っぽさの特徴の一つとしてまず丸の内進行があり、若い世代へ徐々に浸透していった結果、YOASOBIをはじめとするVOCALOIDを用いない楽曲でも使われるようになったのでは?と推測します。
ボカロ曲を聴いて育ってきた世代が創作する側となり、現在のネット音楽シーンを牽引していると考えると、不自然ではないように思います。
YOASOBIにおける丸の内進行
以前こんな記事を投稿しました。”たったひとつの~”と書いておいてアレですが、実際にはもうひとつあります。それがズバリ…今回紹介してきた「丸の内進行」です!
対象曲・分析方法は前回とまったく同じで丸の内進行の使用頻度を調べました。結果だけ述べますと、「ハルカ」以外のすべての楽曲で使われていました。(※Ⅰの前にⅤmを置きツーファイブ化するパターンや、Ⅳを代理コードのⅡmに置き換えるパターン等も丸の内進行とみなしてカウントしています)
Ayase氏の使い方は私と同じように、“王道進行のマンネリ防止”として使っているように見受けられました。「夜に駆ける」のサビなんかまさにそうですね。
れれれPにおける丸の内進行
私れれれPの曲では「ヘタ恋歌」のサビ“ボクのせいでスミマセン…どうしよう”や、「ツンデ恋歌」のサビ“しつこくつきまとって”などで使われています。
オシャレ感を出すというよりは、王道進行が続いてマンネリ化してしまうのを防ぐ目的で使っていたように思います。
まとめ
このサイトでは王道進行の話をする機会が割と多かったのですが、トレンド的に今キているのは丸の内進行です。
いつかは記事にしなければと思っていたところ、YOASOBIの記事がアクセスを集めたので、それに絡めて今回書いてみました。
丸の内進行は、王道進行同様とても使いやすいコード進行です!
今っぽい曲が書いてみたくなった時……いい感じのメロディが思い浮かばない時……
一度使ってみてはいかがでしょうか?