DTMやバンドなどの音楽活動を長年続けていると、楽器や機材が増えてきて、手持ちのオーディオインターフェイスでは入出力が足りなくなってしまうことがあります。
この記事では、ADATと呼ばれる音声伝送規格を利用したオーディオインターフェイスの入出力を増やす方法について解説しています!
ミキサーで入出力を増やす
この問題の解決策としてもっともポピュラーかつ手軽な方法として、ミキサーの導入が挙げられます。機材とオーディオインターフェイスの間にミキサーを接続することで、インターフェイスの限られた入出力を融通することができるようになります。
ただ、この方法にはデメリットもあります。それはミキサーによる音質の変化です。現代のミキサーはどれも優秀でS/N比も良いので、著しく劣化してしまうということは考えにくいですが、確実に変化はあります。いちばん良いのはインターフェイスとの直接接続。それに越したことはないのです。
また、ドラムレコーディング、バンドレコーディングなど多チャンネルをパラで録音しなければいけない場合にはこの方法は使えません。かといって、オーディオインターフェイスを新調するとなるとそれなりの予算が必要となります。ましてや、多入出力の製品となれば20~30万円ということも物価高&円安の昨今珍しくありません。
ADATによる入出力の拡張
そこでオススメするのが、ADAT(エーダット)による拡張です。ADATとは、オプティカル(光)ケーブルを使用したデジタル音声伝送規格。このケーブル1本で44.1/48kHzなら最大8chの伝送が可能です。
もしあなたが現在お使いのオーディオインターフェイスにADAT端子があるのであれば、約6~8万円前後の出費で入出力を各8ch増やすことが可能です!
増設する機器の「WC IN」とオーディオインターフェイスの「WC OUT」を同軸(BNC)ケーブルで接続することで、クロックを同期させます。この場合、前者がスレーブで後者がマスターとなります。
ADATで入力&出力を各8ch拡張
まずは、アナログ入力とアナログ出力をそれぞれ8ch拡張できる製品を4つご紹介します。これらはAD/DAコンバーターとしてだけでなく、8chのマイクプリアンプとしても使用することができます。
Focusrite – Clarett+ OctoPre
- 参考価格(税込) ¥89,600
プロ品質のサウンドを提供するClarett+の回路を搭載し、柔軟性と適応性に優れた8チャンネルのADAT マイクロフォンプリアンプ。さまざまな環境に適応し、ワイドレンジで低歪み、原音そのままのクリアなサウンドは往年のFocusrite スタジオコンソールのサウンドをイメージしています。長年に渡り培われたFocusrite の優れたマイクプリアンプ設計技術によりリアルなサウンドを求めるギタリストやエンジニアにプロフェッショナルな音質を提供します。
https://kcmusic.jp/focusrite/clarett-plus-octopre/
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:DB25(8ch)×1
- ADAT入力:2
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):192kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×1
アナログ入力はTRSとXLRに対応したコンボジャックが8ch。全chにインサート端子が装備されており、外部のアウトボードを簡単に接続できる点は唯一無二。その代わり、アナログ出力端子用のスペースが狭くなっており、Dsub25端子が採用されている点には注意が必要です。
Focusrite – Scarlett OctoPre Dynamic
- 参考価格(税込) ¥76,800
優れたScarlettプリアンプによるクリアなサウンドをADAT入力を備えたデバイスに拡張。A-D/D-Aコンバージョンとアナログコンプレッサーを備えた8チャンネルマイクプリアンプ
https://kcmusic.jp/focusrite/scarlett-octopre-dynamic/
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:TRS×8
- ADAT入力:2
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):192kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×1
アナログ入力はTRSとXLRに対応したコンボジャックが8ch。最大の特徴はアナログ入力全chにコンプレッサーが搭載されている点。「Clarett+ OctoPre」にあったインサート端子はありませんが、アナログ出力がTRSででき、DB25より使い勝手がいいかと思います。
AUDIENT – evo SP8
- 参考価格(税込) ¥70,400
evo SP8は、既存のオーディオ・インターフェイスを拡張する最適なパートナーです。高性能AD/DAコンバーター、多彩なI/O接続、Smartgain機能による自動入力レベル調整機能を備えたインテリジェントなevoプリアンプを8基搭載し、スタジオに必要なあらゆる機能を向上させます。2つのJFETインストルメント入力に加え、新しく画期的なMotion UIコントロール・システムによって、卓越したオーディオ・パフォーマンスをお届けします。evo SP8は、世界で一番賢いマイクプリアンプです。
https://allaccess.co.jp/audient/evosp8/
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:TRS×8
- ADAT入力:2
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):96kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×なし
アナログ入力はTRSとXLRに対応したコンボジャックが8ch。本製品には「スマートゲイン」と呼ばれる自動入力レベル調整機能が搭載されています。「evo SP8」2台と同社のオーディオインターフェイス「evo 16」とセットで使用することで、24入力24出力の環境が構築できます。
BEHRINGER – ADA8200
- 参考価格(税込) ¥37,800
MIDASデザインのマイクプリアンプを搭載した、8CHのA/D-D/Aコンバーター。44.1 および 48 kHz のワードクロック入力、24-bit/48kHzのオプティカルADAT IN/OUTなど機能も充実しています。
https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/185101/
- アナログ入力:XLR×8/TRS×8
- アナログ出力:XLR×8
- ADAT入力:1
- ADAT出力:1
- サンプリングレート(最大):48kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×なし
アナログ入力はコンボジャックではなく、TRSとXLRが各8ch。最大サンプリングレートが48kHzまでしか対応していない点は残念ではありますが、3万円台という衝撃の価格で購入でき、コストパフォーマンスを重視する方やDTM初心者の方にオススメです。
かつては2万円台で購入できました(笑)
ADATで入力を8ch拡張
ここまで、アナログ入出力を増やせる製品をご紹介しました。しかし、「出力はいらない!」「入力だけ増やしたい!」という方もいると思います。そういった場合、ADAT出力のできる8chマイクプリアンプの導入をオススメします。
TASCAM – SERIES 8p Dyna
- 参考価格(税込) ¥59,200
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:TRS×8
- ADAT入力:なし
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):192kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×1
Focusrite – Scarlett OctoPre
- 参考価格(税込) ¥64,800
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:TRS×8
- ADAT入力:なし
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):192kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×1
AUDIENT – ASP800
- 参考価格(税込) ¥126,500
- アナログ入力:TRS/XLR×8
- アナログ出力:DB25(8ch)×1
- ADAT入力:なし
- ADAT出力:2
- サンプリングレート(最大):96kHz
- ワードクロック:IN×1/OUT×なし
まとめ
ADATを利用したオーディオインターフェイスの入出力を増やす方法についての解説記事でした!
結論として、性能と価格のバランスがもっとも取れているのはFocusriteの製品かなと個人的には思いました。
みなさんもご自身の用途に応じて最適な製品を探してみてくださいm(__)m