dbxのステレオコンプレッサー「1066」の使い方や主な機能、参考音源の紹介です!
2008年にヤフオクで購入し、現在に至るまで10年以上使用してきたのですが、購入当初は最適な使い方がわからず途方に暮れていました。
ネットを検索してもあまり情報がないため、同じように困っている方のお役に立てればと思い、今回の記事執筆に至りましたm(__)m
製品概要
・2chのコンプレッサー/リミッター/ゲート。2つのチャンネルはステレオ動作が可能。
・200kHz(−3dB)の広帯域と120dBのダイナミックレンジによる比類ない高音質。
・人間の聴感に近い方法で入力信号のパワーを取り出す、自然な特性のRMSレベル検出回路を搭載。
・不要な低域信号を検出回路から取り除くContourスイッチを装備。
・コンプレッサーには、ニー特性を滑らかにする独自のOverEasy機能を装備し、ハードニー特性と切り替え可能。繊細で滑らかなゲイン制御から、明確で力強いコンプレッションまで、高品位に対応。
・信号の内容によってアタック時間とリリース時間を自動的に設定し、dbxの定評ある音質を実現するAUTOモードを搭載。マニュアル設定と切り替え可能で、滑らかなレベル変動から急峻なアタック音まで、思い通りのコンプレッションが可能。
・リミッターには、独立したRMSレベル検出回路によるゲイン制御と、ソフトクリップ回路を組み合わせた、独自のPeakStopPlus回路を採用。
機能説明
はじめに、dbx1066に搭載されている主な機能をご紹介します。本機には、「ゲート」「コンプレッサー」「リミッター」の3つのセクションがあり、必要に応じてそれらを組み合わせ、音を作っていきます。
信号の流れは一般的なアウトボード同様、左から右へ流れます。したがって、パラメータの設定もその順で行っていくとスムーズです。
① エキスパンダー/ゲート
最初のセクションは「エキスパンダー/ゲート」です。不要なノイズや余韻をカットしたい場合に使う機能です。レシオが小さいときはエキスパンダーとして、大きいときはゲートとして作動します。よって、自然に処理したい場合はレシオを小さめに、バッサリカットしたい場合はレシオを大きく設定するとよいでしょう。
何dB以下をカットするかはスレッショルドで設定します。左に回し切るとOFFとなり、この機能をバイバスすることができます。私はOFFで使うことが多いです。
② コンプレッサー
つづいてのセクションは、本機のメイン機能「コンプレッサー」です。
使い方は一般的なコンプレッサーとほとんど変わりませんが、本機ではATTACKやRELEASEの単位に「ms(ミリセカンド)」ではなく「dB/mSec」を使います。「ATTACK」「RELEASE」の上にそれが確認できます。これは1msあたり何dB圧縮するかという意味で、この値が大きい(左に行く)ほど反応は素早く、小さい(右に行く)ほど遅くなります。
一般的なコンプレッサーはスレッショルドを超えてからの時間(ms)で圧縮を行います。一方、本機ではスレッショルドを超えてからの1msあたりの音量(dB)を参照して圧縮を行います。この方式を採用することにより、スネアやキックのようなピークの立ち上がりがきわめて早いソースに対しても適切に対応できるわけです。
最初は戸惑うかもしれませんが、難しく考える必要はありません。一般的なコンプレッサー同様、「左に行くほど早く、右に行くほど遅い」と思っていただければOKです。ATTACKは3~0.04dB/mSec、RELEASEは250~5dB/Secの範囲で設定可能です。
OverEasy
「OverEasy」は、コンプレッションカーブをデフォルトのハードニーからソフトニーに変更するボタンです。図を見てもらうとわかりやすいかと思います。
本機のコンプレッションは派手でガッツのある、いわゆるdbxらしいサウンドです。バンドサウンドにはそのままで十分マッチします。しかし、それ以外のジャンルだと不自然で浮いてしまう恐れがあります。この機能を使うことで、幅広いソースに対応できる万能コンプに変貌します。
Contour
「Contour」は、検出から低域を除外するボタンです。つまり、これがONになっていると低域のコンプレッションが行われません。バストラックや2mixの処理で、キックやベースが引っかかりすぎる場合などに有効です。
③ PeakStopPlus LIMITER
「PeakStopPlus LIMITER」は、名前の通りリミッターです。マニュアルによるとPAなどでの機材保護を目的とした機能(?)のようです。コンプレッサーよりも過激な圧縮のため、基本的にはOFFです。
くわしく知りたい方は、マニュアルを翻訳したものを置いておきますので以下からお読みください。
StereoCouple
「StereoCouple」は、Ch1の設定をCh2にコピーできる便利なボタンです。いわゆるステレオリンク機能です。ステレオ素材を扱う際は必ずONにしましょう。
私の使い方
ここからは、私が普段どのようにdbx1066を使っているかについて解説していきます。
本機の特徴は、なんといっても強烈なパンチ感。よって、ソフト音源で作ったドラムトラックを太く頑丈にするために使うことがもっとも多いです。プラグインでは到底作れないパッキパキのサウンドに仕上がります。
とはいえ、あまりにも過激なコンプレッションをしてしまうと、後で困ることになりますので、ゲインリダクションは最大でも6dB程度となるよう心がけています。自然なコンプレッションを得たい場合は、OverEasy機能を使います。この場合もゲインリダクションの目安は同程度とします。
ツマミ設定
コンプレッサー機能のみを使いたいため、ゲートとリミッターのツマミはOFFの位置に合わせ、バイパスするように設定しておきます。
スレッショルドとアウトプットは0、レシオは1:1、アタックとリリースは最遅。これを初期位置とし、少しずつ最適値を探っていきます。
参考音源
それではお待ちかね、実際のサウンドを聴いていただきましょう!
サンプルとして使うのは、プラグインレビューでお馴染みのBFD3で作ったドラムトラックです。
その1 Contour OFF / OverEasy OFF
結果、今回のソースではこのような設定が最適と判断。
キックとスネアがグッと締まり、タイトなビートになりました!
・レシオ:4:1
・アタック:0.2dB/mS
・リリース:20db/Sec
・リダクション:~6dB
・スレッショルド:-3dB
・アウトプット:+3dB
本機はVCA方式のコンプレッサーなので、ヴィンテージ機のような派手なサチュレーションは付加されません。しかし、アナログ出ししただけでもこのように音の質感は大きく変わります。
その2 Contour ON / OverEasy OFF
つづいて、低域を検出から除外するContour機能をONにします。
それ以外の設定は変えていません。
キックが圧縮されていないため、リダクション量が1目盛り分減りました(~4dB)。
その3 Contour OFF / OverEasy ON
最後に、ハードニーをソフトニーに変更するOverEasy機能をONにします。
それ以外の設定は変えていません。
スレッショルドが深くなるため、リダクション量が1目盛り分増えました(~9dB)。
それにともない、サウンドもよりタイトな仕上がりとなっています。
まとめ
dbxのステレオコンプレッサー「1066」の使い方や主な機能、実際のサウンドの紹介でした!
本来はレコーディング用ではなくPA用の機材なのでしょうが、積極的なサウンドメイクが行える独特なコンプレッサーだと思います!
ぜひ参考にしてみてくださいm(__)m
ちなみに本機は生産終了品であり、新品の入手は困難です。
現行機種でもっとも近いモデルは「266XS」でしょう。YouTubeのレビュー動画を見る限り、操作性やサウンドの傾向はほとんど同じと言っていいと思います。