DTMの音質を本気で高めたいと思ったとき、候補として挙がりやすいのがRMEのADIシリーズです。音質はもちろん耐久性にも定評があり、私もかれこれ15年間「Fireface UC」を愛用しています!そんなADIシリーズに2026年10月新たに加わるのが「ADI-2 Pro EX」。
この記事では、新製品「ADI-2 Pro EX」の詳細を解説しつつ、既存の「ADI-2/4 Pro SE」「ADI-2 DAC FS」「ADI-2 FS」とどのような違いがあるかを比較レビューします!これらはいずれも高品位なオーディオ変換を目的とした製品ですが、録音への対応、USB接続、ヘッドフォン出力、DSP機能などには大きな違いがあります
ADI-2 Pro EX:今買うなら本命

参考価格:¥352,000
「ADI-2 Pro EX」は、従来の「ADI-2 Pro FS R Black Edition」をベースに、筐体、出力性能、ハードウェア保護を強化した新世代モデルです。
2系統のXLR/TRSコンボ入力、XLRとTRSのアナログ出力、2系統のExtreme Powerヘッドフォン出力を搭載。光SPDIF/ADATに加え、付属ブレイクアウトケーブルを使って同軸SPDIFとAES/EBUも利用できます。
USB-CはUSB 2.0準拠で、バスパワー駆動には対応していません。ただし、ロック機構によってケーブルが抜けにくく、制作中の事故を防ぎやすい設計です。2入力/2出力のステレオモードと、6入力/8出力のマルチチャンネルモードを切り替えられます。
音質だけでなく、2基のヘッドフォン出力、5バンドEQ、クロスフィード、ラウドネス、M/S処理、ステレオ幅調整などを1台にまとめられるのが魅力です。ヘッドフォンごとに補正を追い込みたい人にも向いています。
弱点は価格と多機能さです。設定項目が多いため、完全な初心者は最初に戸惑うかもしれません。しかし、一度にすべて覚える必要はありません。最初はUSB接続、スピーカー出力、ヘッドフォン出力だけを使い、必要になった機能を少しずつ覚えれば十分です。
将来、録音、ミックス、マスタリングまで進みたいなら、買い直しを避けやすいモデルです。
ADI-2/4 Pro SE:独自機能が魅力の旧フラッグシップ

参考価格:¥439,900
「ADI-2/4 Pro SE」は、2チャンネルのAD入力と4チャンネルのDA出力を備えた高機能モデルです。
最大32bit/768kHzとDSD 11.2MHzの録音・再生に対応し、2基の6.3mmヘッドフォン出力に加えて、4.4mm Pentaconnバランス出力を搭載しています。また、6.3mm側のバランス駆動にも対応します。
大きな特徴がRIAAモードです。適切な接続と設定を行うことで、レコード盤の信号をデジタル化できます。レコードコレクションを高品位に保存したい人には、ほかの3機種にない魅力です。
リアのXLRとTRSから独立したステレオソースを出力できるため、外部機器を使ったマスタリング環境にも対応できます。ただし、DTM初心者が一般的な2本のモニタースピーカーだけを使う場合、この出力構成を生かし切れない可能性があります。
国内公式サイトでは生産終了が案内されているため、購入時には新品在庫、中古価格、保証期間、リモコンやブレイクアウトケーブルの有無を確認しましょう。
ADI-2 DAC FS:再生特化ならコレ

参考価格:¥198,000
「ADI-2 DAC FS」は、名前のとおりDA変換を中心としたモデルです。アナログ入力を搭載していないため、歌、ギター、シンセサイザーなどのアナログ信号を本機だけで録音することはできません。
一方、USB、同軸SPDIF、光SPDIF/ADAT入力を備え、XLRとRCAのステレオ出力、6.3mmヘッドフォン出力、3.5mm IEM出力を搭載しています。最大32bit/768kHzとDSD 11.2MHz再生にも対応します。
特に便利なのがIEM専用出力です。高感度なイヤホンでもノイズを抑えた再生が可能になるよう設計されています。ヘッドフォン用の5バンドEQ、クロスフィード、ラウドネスも利用できるため、ヘッドフォン中心でミックスする人にも魅力があります。 [rme-audio.jp]
すでにオーディオインターフェイスを所有している場合、そのデジタル出力をADI-2 DAC FSへ接続し、モニタリング用DAコンバーターとして追加する方法もあります。
録音機能が不要なら、高機能なProモデルへ予算を上乗せする必要はありません。音楽鑑賞とミックス確認を重視するなら、在庫品や状態の良い中古品は有力な選択肢です。
ADI-2 FS:USB不要シンプルな変換機

参考価格:¥143,000
「ADI-2 FS」は、最大24bit/192kHz対応の2チャンネルAD/DAコンバーターです。
XLR/TRSコンボ入力×2、XLR出力×2、TRS出力×2、6.3mmヘッドフォン出力を搭載。デジタル端子は同軸SPDIFと光ADAT/SPDIFの入出力に対応し、フォーマット変換にも利用できます。
最大の注意点は、USBオーディオ端子を搭載していないことです。そのため、USBケーブル1本でパソコンにつなぐ使い方はできません。パソコンで使う場合は、対応するデジタル入出力を備えた別のオーディオインターフェイスなどが必要です。
また、Pro系やDAC FSにある高解像度ディスプレイ、5バンドEQ、ラウドネス、クロスフィード、リモコンは搭載していません。
機能が少ないことは、必ずしも欠点ではありません。すでに制作システムが完成しており、シンプルで高品位な2チャンネルAD/DA変換だけを追加したい人には、むしろ分かりやすい製品です。
反対に、初めてオーディオ機器を購入するDTM初心者が選ぶと、USBがないことや接続方法で困る可能性があります。
RME ADIシリーズのスペック比較表
下表はRME国内公式ページの仕様および機能比較表をもとに、購入判断に重要な項目を整理したものです。

| ADI-2 Pro EX | ADI-2/4 Pro SE | ADI-2 DAC FS | ADI-2 FS | |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | ¥352,000 | ¥439,900 | ¥198,000 | ¥143,000 |
| アナログ入力 | XLR/TRSコンボ×2 | なし | XLR/TRSコンボ×2 | |
| USBオーディオ | USB×1 | なし | ||
| 同軸SPDIF入力 | 対応、ブレイクアウト経由 | 1 | ||
| 光SPDIF/ADAT入力 | 1 | |||
| AES/EBU入出力 | 対応、ブレイクアウト経由 | 1 | なし | 同軸SPDIFのチャンネルステータス変更で対応 |
| XLR出力 | ステレオ1系統 | |||
| TRSライン出力 | ステレオ1系統 | なし | ステレオ1系統 | |
| RCAライン出力 | なし | ステレオ1系統 | なし | |
| 6.3mmヘッドフォン出力 | 2 | 1 | ||
| 4.4mm Pentaconn | なし | 1 | なし | |
| 3.5mm IEM出力 | なし | 1 | なし | |
| 最大PCM | 32bit/768kHz | 24bit/192kHz | ||
| DSD | 録音・再生、11.2MHz | 再生、11.2MHz | 非対応 | |
| マルチチャンネルモード | 6入力/8出力、最大192kHz | なし | ||
| 5バンドEQ | 対応 | 非対応 | ||
| ラウドネス/クロスフィード | 対応 | 非対応 | ||
| 高解像度ディスプレイ | 対応 | 非対応 | ||
| リモコン | 付属 | なし | ||
| サンプルレートコンバーター | 対応 | 非対応 | ||
| RIAAモード | 非搭載 | 対応 | 非対応 | |
| トリガー出力 | 対応 | 非対応 | ||
| 主な用途 | 録音、再生、変換、マスタリング | 録音、4系統DA、レコード取り込み | 高品位な再生とモニタリング | シンプルなAD/DA変換 |
重要なのは、最大768kHzに対応しているから必ず音が良い、という単純な話ではないことです。一般的なDTMでは44.1kHz、48kHz、96kHzが使われることも多く、数字の大きさだけで選ぶ必要はありません。
それよりも、アナログ録音が必要か、USBでパソコンへ直接接続したいか、ヘッドフォンを何台使うか、DSP補正が必要かを優先してください。
用途別のおすすめモデル
将来まで長く使いたい

参考価格:¥352,000
おすすめは「ADI-2 Pro EX」です!
USBでパソコンと接続でき、ADとDAの両方を備え、ヘッドフォン出力も2系統あります。最初はシンプルに使い、将来はデジタル接続やマスタリング機能まで活用できます。
レコードをデジタル化したい

参考価格:¥439,900
おすすめは「ADI-2/4 Pro SE」です!
RIAAモードと4.4mm Pentaconn出力は、ほかの比較対象にはない特徴です。ただし、生産終了品なので購入条件をよく確認しましょう。
ヘッドフォン制作と音楽鑑賞が中心

参考価格:¥198,000
おすすめは「ADI-2 DAC FS」です!
アナログ録音が不要なら、DA変換、ヘッドフォンアンプ、IEM出力、DSP補正という必要な機能へ集中できます。
AD/DA変換を追加したい

参考価格:¥143,000
おすすめは「ADI-2 FS」です!
USBや高度なDSPを必要とせず、ADAT、SPDIF、AES/EBU系の変換を重視する人に適しています。
まとめ
RMEのADIシリーズは外観が似ていますが、役割は大きく異なります。録音と再生の両方に対応し、現在の制作環境から将来のマスタリング環境まで見据えるなら、「ADI-2 Pro EX」が最も総合力の高い選択です。
録音をしないなら「ADI-2 DAC FS」、4.4mmバランス出力やRIAAモードが必要なら「ADI-2/4 Pro SE」、USBを必要としない変換システムなら「ADI-2 FS」が候補になります。
RMEのコンバーターは決して安価ではありません。しかし、モニタリングは曲作り、音作り、ミックス、マスタリングのすべての判断基準になります。制作するたびに使う部分だからこそ、長期間使える高品質な機材へ予算をかける意味があります。
予算だけで最安モデルを選ぶのではなく、自分が録音するのか、再生だけなのか、どの端子を使うのかを整理して選びましょう。目的に合う1台なら、ADIシリーズは制作環境の中心として長く活躍してくれるはずです!


