2022年1月19日、ドイツに本社を置くSteinberg社はVST2プラグインのサポートを24か月以内に終了する旨を発表しました。
これにより、2024年以降(?)Cubase,Nuendo,WaveLabなどのSteinberg製ソフトウェアにおいてVST2が使用できなくなり、VST3に一本化されていくものと思われます。
この記事では、その背景や今後の展望について考えていきたいと思います!
VSTについて
ご存じかと思いますが、ここであらためてVSTについて確認しておきましょう。
Steinberg’s Virtual Studio Technology (一般的にはVST)とは、ソフトウェア・シンセサイザーやエフェクター・プラグインと波形編集ソフトウェアやデジタル・オーディオ・ワークステーション (DAW) 間のリアルタイムなデータ受け渡しを担い各種の加工などを施すプログラムを、プラグインとして提供するための標準的な規格の一つである。この規格に沿って制作されたプラグインは、多くが操作を容易にするためにGUIを採用している。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
パッケージソフト、シェアウェア、フリーウェアの形態で数千ものVSTプラグインが存在しており、また多くのDAWで扱えることから、この種の規格の中では最も普及している規格と言える。VSTのライセンスは開発したスタインバーグが保持している。VSTプラグインのSDKが公開されており、C++で書かれている。
廃止が発表されたVST2は、1999年から存在する非常に古い規格であり、これをサポートし続けることが新しいソフトウェア開発のネックとなっているようです。
Steinberg社の公式発表
VST2のサポート終了は、VST3への移行プロセスの最終段階を意味します。VST3に特化することで、製品の安定性が増し、VST3プラットフォームの利点をフルに活用することができます。
引用:VST2サポート終了のお知らせ
現状では、Steinberg社のホストは引き続きVST2との互換性を提供しています。M1チップ搭載のMacユーザーは、Rosetta2(※Intel用アプリをMac上で動かすソフト)下で、引き続きVST2を使用することができます。
さらに、今後24ヶ月以内に、MacOSとWindowsにまたがるSteinbergのホストアプリケーションとプラグインは、VST3との互換性のみを提供するようになる予定です。
これらの事態に備えて、サードパーティのVST2プラグインが使用されているかどうかを確認し、使用されている場合は、対応するプラグイン開発者にVST 3への対応について問い合わせることをお勧めします。
上記はSteinberg本社の発表を日本語に翻訳した文章です。
今回の発表はTwitterや海外のフォーラムなどでは、あたかも青天の霹靂であるかのような受け取られ方をされていますが、Steinbergがいきなり方針を変えたわけではありません。2018年の時点で、これを示唆する内容を(開発者向けではありますが)行っていました。
正直もっと早く廃止してもよかったのでは?とも思いますが、VST2を使い続けているユーザーはまだ多くいますから、なかなか踏み切れなかったのでは、と推測します。
今後
さて、VST2が使えなくなると困る人は大勢います。それはSteinberg社の発表に対するTwitterのリプライを見てもわかります。
また、Steinbergのフォーラムには「まだVST3版がないVST2プラグインリスト」なるスレもあります。
VST3版UADはいつ?
個人的に現状もっとも気がかりなのは、UADプラグインがVST3に対応してないことです。
UADフォーラムでもこの問題は何度も議論されていますが、公式からのアナウンスはありません。
まとめ
今回のVST2廃止は、あくまでSteinberg製ソフトウェア(Cubase,Nuendo,WaveLabなど)に限った話であり、それ以外のDAWは引き続き使うことができます。
とはいえ、最終的にはすべてのDAWでVST2は使えなくなるでしょうから、今のうちにVST3移行を進めていきましょう!