1176といえば、レコーディング・ミキシング業界に身を置いている人であれば知らない人はいない超定番コンプレッサー。
太くパンチのある独特のサウンドは唯一無二であり、世界中のありとあらゆる楽曲に使用されています。
その人気さゆえか、WAVES、IK Multimedia、Arturiaなど枚挙にいとまがないほど多くのメーカーが1176をモデルにしたプラグインを販売しており、出来もピンキリ、「結局どれを使えばいいの?」と頭を抱えてしまう方も少なくないのではないでしょうか。
しかし、今回ご紹介するUniversal Audio(UAD)「1176 Classic Limiter Collection」は、実機を製造している本家本元Universal Audioみずから開発を手がけた、いわば純正プラグインなのです。
この記事では、1176の歴史を紐解きながらプラグインを実際に使用してみた感想を音源とともにくわしくレビューしていきます!
1176の歴史とリビジョン
1968年の発売以来、50年以上もの歴史を持つ1176には、Rev A~Hのリビジョンが存在し、そのどれもが異なる音響特性を持っています。
「1176 Classic Limiter Collection」には、最初期の「Rev A」、中期の「Rev E」、そしてそれらを元に復刻されたモデル「Rev AE」の合計3種類が収録されており、どんなソースにも柔軟に対応できるプラグインパックとなっています。
1176 RevA Compressor
シルバーのパネルに青帯が映える「1176 RevA」は、通称「ブルーストライプ」と呼ばれる最初期モデル。
真空管によるコンプレッサーが主流だった当時、リダクション回路にFET(トランジスタ)を採用した本機の20μSという超高速のアタックタイムは衝撃的で、またたく間にレコーディング業界に浸透していきました。
1176LN RevE Compressor
シルバーから一転ブラックのパネルとなった「1176LN RevE」はノイズが低減され、製品名にLN(Low Noise)が追加されました。
1176AE Compressor
2008年に発売された「1176AE」は、1176の誕生40周年記念として世界500台限定で製造されたレアモデル。AEはAnniversary Editonと、Rev A/Eの2つの意味をかけて命名されました。
1176 Classic Limiter Collection 音源つきレビュー
それでは実際に使用してサウンドをチェックしていきましょう!今回は比較のため、上記画像のように設定をそろえて検証します。使用するのは、BFD3で制作した4小節のドラムトラックです。
その結果がコチラ!
1176 Rev A (4:1)
派手で荒々しい感じです。ヌケ(高域)がいいので目立たせたいトラックに使いたい。
1176LN Rev E (4:1)
中低域の押し出し感が特徴的で太さがあります。キックやベースに使いたい。
1176 Rev AE (4:1)
最近のリビジョンということもあってかバランスがいいです。何にでも合いそう。
必殺!1176「レシオ全押し」モード
さて、1176といえばRATIOの「全押し」ですよね。歪みに歪みまくった独特のサウンドは1176でなければ作り出せないと言われています。
「1176 Classic Limiter Collection」では、Shiftキーを押しながらRATIOボタンをクリックすることで、それを再現することが可能です!
1176 Rev A (全押し)
1176LN Rev E (全押し)
思ったより大人しくて使いやすそう。
1176 Rev AE (全押し)
派手すぎず地味すぎず、文字通りRev AとEのいいとこ取りな感じ。
まとめ
Universal Audio「1176 Classic Limiter Collection」のレビュー記事でした。
これまで様々な1176系プラグインを試してきましたが、その中でも本製品は圧倒的に実機の出音に近いと感じます。しかも、1度に3種類も手に入ってしまうわけですから、こんなにオトクなことはありません。
Plugin Boutiqueでは無料体験版もありますので、みなさんもぜひ1度使ってみてください!