Pulsar Audioの「Pulsar Mu」を実際に使ってみたレビュー記事です!
真空管コンプとは
アウトボードのコンプレッサーには、Opto式(LA2A)やFET式(UREI1176)など、様々な動作タイプがあります。Variable Mu方式もその一つで、真空管をリダクション回路に用いたコンプレッサーを指します。代表的なものに「MANLEY Variable Mu」や「Fairchild 670」などがあります。今回紹介する「Pulsar Mu」は「MANLEY Variable Mu」をモデリングしたプラグインです。
このタイプはコンプレッサーの中でももっとも古いタイプで、1950年代から存在します。レシオは無く、アタックやリリースタイミングは遅めで、瞬間的なピークを叩く用途には向いていません。
しかし、そのコンプレッションはナチュラルかつ音楽的で、ミックスにまとまり(グルー感)を与えるバスコンプレッサーとして、世界中のスタジオで現在も愛用されています。また、その過程で加わる真空管特有の存在感や温かみ(サチュレーション)も、真空管コンプが愛される理由の一つです。
実際に使ってみた!
前置きが長くなってしまいました。それでは実際に使っていきましょう。
BFD3で作ったドラムのバストラックに挿してみます。
まずは素の音をお聴きください。
デフォルトでは、THRESHOLD7、ATTACK7.8、RELEASE4、となっています。これは「Classic[-3db]」というプリセットが読み込まれた状態です。
ドラムバス用のプリセットもあるので試しに使ってみましょう。
「Snap[-3db]」を選択しました。設定は、THRESHOLD6.4、ATTACK最速、RELEASE最速、となっています。THRESHOLDが深くなり、ATTACKも速くなったため、かなり強めにコンプレッションがかかっています。
メーターを見ると最大で約2dBのリダクションが起きています。
しかし、これはアナログのVUメーターをシミュレートしたもの。
慣れ親しんだデジタルピークメーター(dBFS)で確認したい場合は、メーター自体をクリックしてください。
すると「Pulsar 1178」でもお馴染みのあの画面に切り替わります。
最大で約6dBFSのリダクションだということが分かりました。
このままでも悪くはないですが、バスコンプにしては少々潰しすぎのように感じます。
なので、今の半分(最大で3dBFS程度)のリダクションに収まるよう、THRESHOLDとATTACKを緩めていきます。
RELEASEはこれ以上遅くすると次の音にかかってしまうので最速のままにしておきます。
最終的に、THRESHOLD7、ATTACK9.5、RELEASE最速、となりました。
適切なグルー感が得られましたね!
感想
一言でまとめると真空管コンプらしい自然なかかり具合で使いやすいです。
バスコンプとして有名な「SSL Stereo Bus Compressor」系のプラグインと比較すると、あちらはVCA方式ということもあり、はっきりとしたコンプ感があります。自然なサウンドにしようとするとシビアな調整が必要です。
一方、「Pulsar Mu」はざっくりした調整でも自然なコンプレッションが得られ、初心者が使っても失敗しにくいのではないでしょうか。
また、今回は使いませんでしたが、中央にある「MIXツマミ」で「加工前の音」と「加工後の音」をブレンドすることができます。これは実機にはない独自の機能で、表現の幅を大きく広げてくれることと思います。
まとめ
いかがでしたか?
Pulsar Audio Muのご紹介でした。
試用版もあるので興味を持った方はぜひお試しください!