PC内で完結するいわゆるIN THE BOXで作った曲は、デジタル特有の冷たい平坦なサウンドになりがちであり、それが素人っぽさにつながる要因のひとつであると考えられます。
ここにアナログ感(サチュレーション)を足すことで、それらを緩和する効果が期待できます。
この記事では、私がかれこれ7~8年愛用しているEmpirical Labsの「FATSO」について解説します!
サチュレーション
素人の音とプロの音を聴き比べると、何から何までまるで違います。
素人の音はジャリジャリというかザラザラというか、角が立っていてなめらかでない耳が疲れるサウンドです。そうなってしまう原因は無数にありますが、そのひとつにサチュレーション不足があると考えられます。
PC完結(IN THE BOX)で作っているとどうしてもこのサチュレーションが得られず、上記のような素人特有の音になってしまいがちです。
一方、プロの音はレコーディングやミックス・マスタリング時に様々なアウトボードによって、適度なサチュレーションが付加されているため、聴いていて心地いいサウンドに仕上がっています。
Empirical Labs FATSOとは?
EMPIRICAL LABS ( インペリカルラボ )
EL7-X FATSO コンプレッサー/テープエミュレーター
FATSOは本物のアナログ回路を複雑なルーティングでデジタル制御することで、様々なアナログデバイスの温かみをサウンドに付加できるオプティマイザー&コンプレッサー。
プラグインなどには無い本物のアナログ回路から導きだされるサウンドが音楽的な響きと質感を加えてくれます。
FATSOでは複雑なプロセッシングを組合わせ、トランス回路、真空管、テープコンプ、テープサーチュレーション、アナログレコードなど考えうる全てのアナログデバイスの音色を再現します。さらにNEVEやAPI、UREI、Fairchildなどのビンテージ機器の滑らかな音色をも再現する事ができます。
<サウンドハウス商品ページより引用>
ボタンやツマミが少なく、手軽に曲に温かみをプラスできるので重宝しています。
これが私がこの製品を愛用する最も大きな理由ですね。
本記事では、私流の使い方を解説しています。
正しい使い方は下記サイトやマニュアルをご確認ください。
公式サイト
UADプラグイン
輸入代理店
実機かプラグインか
実機とプラグインの両方を使ってみた経験から言うと、これからFATSOを導入したいと思ってる方には、UADのプラグイン版をオススメします。
実機の現在の価格は約33万円。一方プラグインは約3.3万円($299)です。プラグインとはいえ、再現度は十分高く、10倍の金額を払ってまで実機を買う必要はないと判断します。
ご存知の方も多いと思いますが、UADのプラグインは上記のような、SHARCチップ搭載のUniversal Audio製品を持っていないと使用できません。
まだ持っていない方は、まず導入に最低でも5万円ほどかかってしまいますが、UADのプラグインはどれも優秀ですし、ずっと使い続けていける品質ですから、十分価格に見合った効果が得られる投資であると考えます。
オススメ設定
私がFATSOを使う場面は主にマスタリングです。
マスタートラックの最初(マキシマイザーの前)に挿しておくと、デジタル特有の角が取れ、音圧を上げても耳に痛くないサウンドに仕上げることが可能です。
コンプ設定
コンプは7通りの設定ができますが、2mixに使うにはどれも効きすぎるのでOFFにします。
コンプをかけるならば、下記のようなバスコンプを後ろに挿しましょう。どれも素晴らしい出来でオススメです。
サチュレーション設定
Warmthは上げすぎると音割れしてしまうので3くらい。TRANNYはONかOFFしかないのでもちろんON。この2つがサチュレーションを司っています。ソースに合わせて適宜調節してください。
検証
上記の設定でどれくらいサチュレーションが発生するか、1kHzのサイン波をで視覚的に確認してみましょう。
使用前
COMP:OFF・Warmth:3・TRANNY:ON
上にも下にもガッツリ倍音が足されました。
しかし、極限まで拡大して表示してこれなので、見た目ほど派手な変化は聴感上ありません。
COMP:OFF・Warmth:3・TRANNY:OFF
TRANNYをOFFにしてみました。2,3,4,5kHzの倍音だけ残りました。
まとめ
私流のFATSOの使い方をご紹介しました。
参考にしていただければ幸いです。