実機に近いのは?Neve 1073系プラグイン徹底比較!UAD / Waves / IK / Artulia

音楽制作の世界におけるアナログヴィンテージ機材の人気は、デジタル全盛の現代であっても衰えることを知りません。その中でも、英国に本社を置くNeve(ニーヴ)社の1073はもっとも愛されるマイクプリアンプ&EQの一つです。半世紀以上にわたって数多くの著名アーティストのレコーディングで使用され、特にボーカルにおいてはリッチかつパンチのあるサウンドは唯一無二です。

この「Neve 1073」のサウンドを再現するために、数えきれないほど多くのプラグインメーカーがエミュレーションを開発してきました。アナログ回路の特性やトランスフォーマーの影響まで忠実にモデリングしたものもあれば、デジタルならではの柔軟性を加えたものまでさまざまです。

本記事では、「Neve 1073」をモデルにしたプラグインを比較し、それぞれの特徴や用途について詳しく解説します!

目次

Neve 1073の特徴

「Neve 1073」は、その「太く」「温かみのある」サウンドが特徴です。プリアンプ部分とEQ部分、それぞれに独自の特性があり、プラグインでもその再現度が重要視されます。

① プリアンプ部分の特徴

「Neve 1073」のプリアンプは、入力信号に対して独特のサチュレーション(倍音の付加)を与え、音に太さや密度感を加えます。特に、トランスフォーマーを通ることで生まれる「中低域の厚み」や「滑らかな高域の倍音」が、多くのエンジニアに愛されています。

このプリアンプの特性を再現したプラグインは、以下のような用途に適しています。

  • ボーカル:温かみと存在感をプラス
  • ギター:リッチで前に出るサウンドに
  • ドラム(キック・スネア):パンチのあるサウンドに仕上げる

② EQ部分の特徴

「Neve 1073」のEQは、シンプルながら非常に音楽的な特性を持っています。

  • シルキーな高域(12kHz):空気感や明るさを加えるのに最適
  • ミッド(0.36/0.7/1.6/3.2/4.8/7.2kHz):楽器の芯を作る役割を果たす
  • タイトな低域(35/60/110/220Hz):必要な部分を強調・カットできる

このEQは、単なる周波数補正ではなく、音のキャラクターを形作るのに適しており、以下のような場面で活躍します。

  • ボーカルに「抜け」と「存在感」を加えたいとき
  • ギターやベースをミックスで際立たせたいとき
  • ドラムの輪郭を強調したいとき

「Neve 1073」のEQは、ざっくりした調整でも「いい音」になりやすいのが最大の魅力です。そのため、初心者にも扱いやすく、ミックスの質を簡単に向上させることができます!

Neve 1073系プラグイン比較

① Universal Audio – Neve 1073 Preamp & EQ

定価:$299(約¥45,000)

Universal Audioの「Neve 1073 Preamp & EQ」は、Neve 1073のプリアンプとEQを忠実にエミュレーションしたUADプラグインの代表作です。Unisonテクノロジーに対応しており、Apolloインターフェイスを使用することで、楽器録音時に実機の入力回路の動作をシミュレートできるのが大きな特徴です。

このプラグインの魅力は、Neve 1073特有の太く温かみのあるサウンドをリアルに再現している点です。プリアンプ部分では、トランスフォーマーによる倍音の付加や、サチュレーションの滑らかな増加が忠実にモデリングされており、ボーカルやギター、ドラムに厚みと存在感を加えることができます。また、EQ部分は12kHzのシルキーな高域音楽的なミッドレンジタイトなローエンドを備え、シンプルながら直感的に音を作り込めます。

プロのエンジニアにも愛用される本プラグインは、特にボーカルやアコースティック楽器の処理に適しており、レコーディングからミックスまで幅広く活用できます。Neve 1073の本格的なサウンドを求めるなら最有力です。

かつてUADプラグインの使用にはApolloインターフェイスなどに内蔵されているDSPが必須でしたが、「UAD Spark」の登場以来、ネイティブ(DSP不要)で動かすことができるようになりました。

② Universal Audio – Neve Preamp

定価:$89(約¥13,500)

Universal Audioの「Neve Preamp」は、「Neve 1073」のプリアンプ部のみを取り出したプラグインです。こちらもUnisonテクノロジーに対応しており、倍音豊かなアナログサチュレーションを楽しめます。また、EQが省かれている分動作が軽いため、ミックス時たくさんのトラックに使うことができます。

③ Waves – V-EQ 3

定価:¥23,760(税込)

Wavesの「V-EQ3」 は、Neve 1073および1066のEQセクションをエミュレーションしたプラグインです。シンプルな3バンドEQとハイパスフィルターを備え、Neve特有のシルキーな高域、音楽的なミッドレンジ、タイトな低域を忠実に再現。特にボーカルやアコースティック楽器の補正に適しており、自然で温かみのあるトーンを簡単に加えられます。

Waves Vシリーズには、Neve1081をモデルにした4バンドEQ「V-EQ4」や、Neve2254をモデルにしたコンプレッサー「V-Comp」もあり、こちらもオススメです。

④ Waves – Scheps 73

定価:¥31,790(税込)

おなじくWavesの「Scheps 73」は、アデルやレッドホットチリペッパーズなどを手がける有名エンジニアAndrew Scheps氏と共同開発されたプラグインです。クラシックな3バンドEQとハイパスフィルターに加え、Neve 1078に搭載されている10kHzを中域に追加。より柔軟な音作りが可能となっています。Neve特有の温かみのあるサウンドや滑らかな高域をリアルに再現し、ボーカルやギター、ドラムのミックスに最適です。

⑤ IK Multimedia – EQ 73

定価:€99.99(約¥16,000)

IK Multimedia「EQ 73」は、クラシックなNeve 1073のEQとプリアンプを忠実に再現したT-RackSシリーズのプラグインです。太く温かみのあるアナログサウンドを持ち、3バンドEQとハイパスフィルターにより、ボーカルや楽器に存在感を加えます。プリアンプセクションでは、Neve特有の倍音やサチュレーションを再現し、音に厚みとキャラクターを付与。直感的な操作性とT-RackS環境との統合性も魅力で、ミックスやマスタリングで手軽にヴィンテージNeveの質感を得られます。

単体で購入することもできますが、「T-RackS 6 MAX」(収録プラグイン61種)や「Total Studio 4 MAX」(170種)などのバンドルの方が圧倒的にお買い得です。

⑥ Arturia – Pre 1973

定価:$99.99(約¥15,000)

Arturia「Pre 1973」 は、クラシックなNeve 1073のプリアンプとEQを忠実にモデリングしたプラグインです。Arturia独自のTAE(True Analog Emulation)技術により、Neve特有の温かみや倍音の豊かさをリアルに再現。EQセクションでは、滑らかで音楽的な3バンドEQを搭載し、ボーカルやギター、ドラムに存在感を加えることが可能です。また、ドライブコントロールにより、サチュレーションの強さを調整でき、クリーンからアグレッシブなサウンドまで柔軟に対応。

まとめ

「Neve 1073」をモデルにしたプラグイン6種類を紹介しました!ぜひ参考にしてみてくださいm(__)m

目次