なぜカノン進行は愛されるのか?音楽理論で解説!

ZARD負けないで KAN「愛は勝つ」 岡本真夜「TOMORROW」など、90年代を中心に数々のヒット曲に使われてきた「カノン進行」

今回は、カノン進行がなぜこんなにも多くの楽曲で使われるに至ったか、音楽理論の側面から考えてみたいと思います!

また、作曲をする方向けにカノン進行を発展させるためのテクニックもいくつかご紹介します。

目次

カノン進行の原点

名前の由来

Pachelbel's Canon - Mus.MS 16481-8 Page 1

「カノン進行」という名前は、バロック期に活躍したドイツの作曲家、ヨハン・パッヘルベルの作品「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」(原題: Canon a 3 Violinis con Basso c. / Gigue) 通称「パッヘルベルのカノン」から来ています。

カノン(canon)は、複数の声部が同じ旋律を異なる時点からそれぞれ開始して演奏する様式の曲を指す。ポリフォニーの一つの典型である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%8E%E3%83%B3_(%E9%9F%B3%E6%A5%BD)

こちらが実際の曲です。超有名クラシックなので、聴いたことのない方はいないはずです。

和音分析

・ハ長調(Cメジャー)に移調して説明します。
実際の楽譜は2小節ですが、便宜上8小節とします。

【度数】
 | |Ⅵm |Ⅲm | | | | |

主要三和音である「C(トニック=T)」「F(サブドミナント=SD)」「G(ドミナント=D)」に赤く色を付けました。8つの和音のうち6つが該当し、とても安定感のある進行であることがわかります。

【機能】
T |D |(T) |(T) |SD |T |SD |D |

また、AmはCやFの、EmはCやGの代理コードともとれるため、実質主要三和音のみで構成されていると言っても良いかもしれません。

J-POP式カノン進行

ここまでオリジナルのカノン進行を見てきました。

しかし、J-POPにおいてはこのまま使われるケースはほとんどなく、多くの場合、オリジナルを極限までスムーズに進化させた「J-POP式カノン進行」が主流です。

① ベースの順次下降

さほど大きな変化ではありませんので、気付きづらいかもしれませんが、ルート音に注目してください。ドシラソファミレ…と順次下降していることがわかると思います。

原曲の構成音はそのままに、ベースだけを置き変えたのです。たったそれだけですが、一段とスムーズな響きとなったように聞こえませんか?

② ツーファイブワン

C |G/B |Am |G |F |Em |Dm |G |
|Ⅰ |/Ⅶ |Ⅵm |Ⅴ | |Ⅲm |Ⅱm | |

つづいて、最後の2小節「Dm-G」に注目してみましょう。どこかで見たことはありませんか?そうです「ツーファイブ」です。Ⅱ→Ⅴの動きはドミナントモーションであり、力強い進行感があります。

また、カノン進行は循環コードとして繰り返して使用されることが一般的です。

このとき、ラストのGから頭のCに戻るⅤ→Ⅰの動きもまたドミナントモーションとなり、この上なく強烈な進行感を持つ「ツーファイブワン」を含む最強コード進行へと進化するのです。

J-POP式カノン進行の発展形

先述のとおり、カノン進行最大の特徴は安定感です。しかし、言い換えれば意外性に欠ける進行であるとも言えます。ここからは、カノン進行の予定調和に意外性をもたらすアイデアとして6つの手法をご紹介します!

ピアノやギターなどご自身の演奏できる楽器を用意して、コードを鳴らしながら読み進めていただけると分かりやすいかと思います。

① ツーファイブの挿入

|C |G/B |Am |Gm C |~

ツーファイブ(Ⅱm→Ⅴ)を本来そうでない部分に挿入するパターン。

考え方

① 5小節目のサブドミナント(Ⅳ)であるFをトニック(Ⅰ)とみなします。
② Fがトニックとなったため、一時的にキーをFメジャー(♭×1)にして考えます。
③ Fメジャーにおけるツーファイブワン(Ⅱm→Ⅴ→Ⅰ)として、Gm→C→Fが導かれます。

② セカンダリードミナント

|C |E |Am |G |~

任意のコードをトニック(Ⅰ)とみなしたときのドミナント(Ⅴ)を「セカンダリードミナント」と言います。これはノンダイアトニックコードであり、カノン進行の安定感をいい意味で壊してくれる効果があります。

考え方

① 3小節目のAmをトニック(Ⅰ)とみなします。マイナーもメジャーとして扱うため、Aとなります。
② Aがトニックとなったため、一時的にキーをAメジャー(#×3)にして考えます。
③ Aメジャーにおけるドミナント(Ⅴ)としてEが導かれます。

<頻出セカンダリードミナント>
・Dm(Ⅱm)に対しての A(Ⅵ)
・G(Ⅴ)に対しての D(Ⅱ)
・Am(Ⅵm)に対しての E(Ⅲ)

E→Am以外にも、D→GやA→Dmという使われ方があります。普段耳にするのはだいたいこの3パターンのどれかです。

③ 組み合わせ(①+②)

|C |Bm-5 E |Am |G |~

ツーファイブ+セカンダリードミナントのパターン。Official髭男dism「Pretender」のサビ等、J-POPで頻繁に耳にします。

考え方

① E→Amの進行をツーファイブのⅤ→Ⅰとみなします。
② このときのキーはAメジャー(#×3)です。
③ Aメジャー上でEにツーファイブでつながるコードとしてBmが導かれます。

Ⅰmで終わる短調のツーファイブはⅡmをⅡm-5とするのが通例

④ ドッペルドミナント

~|F |Em |D |G |

②の最後に例として出したG(Ⅴ)に対しての D(Ⅱ)、つまりドミナント(Ⅴ)に対するセカンダリードミナントをドッペルドミナントと言います。ドミナントが連続することになり、力強く魅力的なコード進行となります。

考え方

① 8小節目のGをⅠとみなします。
② Gがトニックとなったため、一時的にキーをGメジャー(#×1)にして考えます。
③ Gメジャーにおけるドミナント(Ⅴ)としてDが導かれます。

⑤ 王道進行

~|F G |Em Am |Dm |G |

5~6小節目を王道進行化するパターン。元の|F |Em |と似ているため、違和感なく溶け込みます。

⑥ ①~⑤を全部使った例

|C |Bm-5 E |Am |Gm C |F G |E Am |D |G |

ここまでのパターンをすべて組み込んだパターン。オリジナルと比べると相当ドラマチックな進行になったかと思います。それでいて、理論的な破綻がないため汎用性も高いと思います。

まとめ

いかがでしたか?

カノン進行の原点となった「パッヘルベルのカノン」から、日本で独自の進化を遂げた「J-POP式カノン進行」、そしてその発展形についての解説記事でした。

ぜひ参考にしてみてくださいm(__)m

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