DTMやライブ配信の世界で長年トップシェアを誇ってきたSteinbergの「URシリーズ」が、ヤマハブランドへと統合され、さらなる進化を遂げました。2026年1月、その上位モデルとして発表されたのが「URX22」「URX44」「URX44V」です。
これまでのエントリー向け機材のイメージを一新し、プロフェッショナルな制作から高度な映像配信までカバーする、まさに「次世代のオーディオハブ」と呼ぶにふさわしい製品群となっています。
この記事では、この注目の新製品3モデルについて、スペック、機能、そしてどのようなユーザーに最適なのかを徹底的にレビューします!


URXシリーズとは?

かつてSteinbergブランドで展開されていたURシリーズは、2024年にヤマハへとハードウェア事業が統合されました。その後登場した「URX22C」「URX44C」は、従来のUR-Cシリーズのブランド名を掛け替えたモデルでしたが、今回のURX22/44/44Vは、設計思想から全く異なる完全な上位モデルです。
最大のコンセプトは「PC前提ではない、本体完結の操作性」にあります。内部に強力なDSPを搭載し、本体に備え付けられた4.3インチのタッチディスプレイでミキシングやエフェクト設定が完結するため、PCの画面を開くことなく直感的な操作が可能です。

徹底比較!URX22、URX44、URX44Vの違い
URX22:ソロクリエイターに最適な機動力モデル

- 実売想定価格:63,800円(税込)
- 入出力:コンボジャック2ch、3.5mm AUX入力、ヘッドホン2系統、TRS出力2ch
- 特徴:シリーズで最もコンパクトながら、上位モデルと同じ高品位なプリアンプとDSPを搭載。シンガーソングライターやポッドキャスター、モバイル環境での録音に最適です。
URX44:マルチトラックREC対応の標準モデル

- 実売想定価格:79,200円(税込)
- 入出力:コンボジャック4ch、ヘッドホン2系統、TRS出力4ch
- 特徴:microSDカードスロットを搭載しており、本体単体で最大16トラックのマルチトラックレコーディングが可能です。PCがクラッシュした際のバックアップ録音としても極めて強力です。
URX44V:HDMI搭載の最上位モデル

- 実売想定価格:127,600円(税込)
- 入出力:URX44のアナログ入出力に加え、HDMI入力とスルー端子を装備
- 特徴:モデル名の「V」はVideoを意味します。HDMIキャプチャ機能を内蔵しており、カメラやゲーム機の映像と音声をPCへ送ることが可能です。ストリーマーや映像クリエイターにとっての究極の1台と言えます。
圧倒的な音質「True Sound」とは?
URXシリーズは、ヤマハが掲げる「True Sound(音の正確な再現)」思想に基づいて設計されています。
- 32-bit / 192kHz対応: 圧倒的な解像度を誇るAD/DAコンバーターを搭載し、微細なニュアンスまで忠実に再現します。
- 高性能マイクプリアンプ: 78dBという広いゲイン幅を持ち、ダイナミックレンジは入力115dB、出力125dBを実現。これは従来のUR-Cシリーズ(出力105dB)を大きく上回る、ハイエンドクラスの性能です。
- クリアな録音: 実際にコンデンサーマイクで録音しても、低域から高域まで色付けのない、透明感のあるクリアなサウンドが得られます。
タッチLCDと物理ノブ
PC不要のDSPミキサー
URXシリーズを象徴するのが、本体前面の4.3インチ・タッチLCDディスプレイです。従来はPC上のソフトウェアで行っていたミキサー操作、EQ、コンプレッサー、リバーブの設定が、すべて本体画面で完結します。
画面下の4つの物理ノブと、パラメーターを直感的に操れる「TOUCH AND TURN」ノブの組み合わせにより、精密かつ素早い調整が可能です。
2つのオペレーションモード
初心者からプロまで使いこなせるよう、2種類のモードが用意されています。
- Standard Mode: 従来のデジタルミキサーのように、すべてのパラメーターを詳細に追い込めるモードです。
- Simple Mode: 用途(配信、レコーディングなど)を選ぶだけで、セットアップアシスタントが最適な設定を自動で行ってくれるモードです。
強力な内蔵DSPエフェクトと便利機能
内部DSPには、プロ仕様の高品質なエフェクトが多数搭載されています。
- チャンネルストリップ: 各チャンネルにゲート、コンプ、4バンドパラメトリックEQを標準装備。
- Pitch Fix: ボーカルのピッチ補正(いわゆるケロケロボイス)やボイスチェンジャーとして利用可能です。
- REV-X / REV-R3: ヤマハ独自の高品質リバーブを搭載。特にREV-R3は、プロ向けミキサー「DM3」と同等のアルゴリズムを採用しています。
- Auto Gain & Clip Safe: 入力レベルを自動調整する「Auto Gain」と、突発的な大音量による音割れを防ぐ「Clip Safe」により、失敗の許されない現場でも安心して使用できます。
- Ducker: 話し始めるとBGMの音量を自動で下げる機能で、配信やポッドキャストに非常に便利です。
URX44Vには待望のビデオキャプチャ機能が

最上位モデル「URX44V」の最大の特徴は、オーディオインターフェースでありながらHDMIビデオキャプチャ機能を統合した点にあります。
同社の「ZGシリーズ」をはじめ、映像配信を行うには通常ビデオキャプチャデバイスが別途必要ですが、URX44Vなら一眼カメラやゲーム機を直接接続し、音声と映像を完全に同期させてPCへ送ることができます。
4K/60fps、1080p/240fpsの解像度に対応しており、音と映像のズレ(リップシンク)を最小限に抑え、必要に応じて本体のDelay機能で補正することも可能です。
MGX、CC1、そしてStream Deck連携
URXシリーズは単体でも強力ですが、同時に発表された製品と組み合わせることでさらに真価を発揮します。
MGXシリーズ
URXと思想を共有する次世代デジタルミキサーです。多チャンネルが必要なバンド録音やイベントに適しています。

CC1
タッチセンシティブ・フェーダーやLCDキーを搭載したUSBコントローラーです。

Stream Deck連携
ヤマハはElgatoと協業関係にあり、URXシリーズはStream Deckから直接コントロールすることが可能です。配信中のエフェクト切り替えや音量操作を、手元のボタン一つで行えるようになります。

まとめ
ヤマハURXシリーズは、単なる「URの後継機」という枠を超えた、プロフェッショナルなクリエイターのための強力なツールです。
- URX22は、音質に妥協したくないソロクリエイターやポッドキャスターに。
- URX44は、バンドマンやPCレスでのバックアップ録音を重視するプロデューサーに。
- URX44Vは、ゲーム配信や高画質な演奏動画を制作するストリーマー、ビデオエディターに。
実売価格は6万円台からと、従来機よりは高価ですが、その音質スペック、多機能なDSP、そして唯一無二の操作性を考えれば、競合他社のハイエンドモデルを凌駕するコストパフォーマンスを秘めていると言えるでしょう。
2026年2月13日の発売を機に、あなたの制作・配信環境をワンランク上の「次世代」へと引き上げてみてはいかがでしょうか?


