宇多田ヒカルデビュー24周年の記念日となる12月9日、自身初の7インチアナログ盤『First Love/初恋』がリリース。同時に、初のDolbyAtmos版「First Love(2022 Mix)」「初恋」の配信も開始されました。
この記事では、発売されたばかりの「First Love(2022 Mix)」と1999年発表のオリジナル版の新旧比較を行っていきたいと思います。
それぞれをじっくり聴き比べ、どれほどの変貌を遂げたのか検証してみましょう!
オリジナル版「First Love」
聴き比べを始める前に、まずは1999年発表のオリジナル版「First Love」についてのおさらいです。
本曲は1999年4月28日発売の自身3枚目のシングルで、同年3月10日に発売されたアルバム『First Love』からのシングルカットです。
売上800万枚以上の伝説的記録を持つ日本でもっとも売れたアルバム!
最高視聴率29.5%を記録したTBS系テレビドラマ『魔女の条件』の主題歌だったこともあり、知名度はとても高く、「Automatic」や「Can You Keep A Secret?」などと並ぶ彼女を代表する作品のひとつです。
ミックスエンジニアの違い
さて、本題に入りましょう。99年版と22年版の最大にして唯一の違いはミックスエンジニアです。
GOH HOTODA(保土田剛)氏から、Steve Fitzmaurice(スティーヴ・フィッツモーリス)氏にバトンタッチした結果、まったく同じマルチデータ(パラデータ)を扱っているにもかかわらず、完全に別次元のサウンドへと進化を遂げています。
GOH HOTODA氏
マドンナやジャネット・ジャクソン、ホイットニー・ヒューストンなど、名だたるアーティストの作品を数多く手がけ、グラミー賞受賞歴もある世界的に有名な音楽プロデューサー・ミックスエンジニア。
近年では、松任谷由実楽曲全423曲のデジタルハイレゾリマスタリングを担当したことでも話題になりました。
Steve Fitzmaurice氏
2016年以降、宇多田作品(『Fantome』『初恋』『BADモード』)のミックスに携わるようになったイギリスのエンジニアで、彼もまたグラミー賞受賞歴のある有名な音楽プロデューサー・ミックスエンジニア。
近年ではMr.Childrenのアルバム『SOUNDTRACKS』に携わったことでも知られています。
聴き比べた感想
お待たせしました。それでは聴き比べをしていきましょう!
一聴してまず驚いたのは圧倒的な解像度の高さ。オリジナルと比べると一音一音が非常に明瞭で、特にアタック(立ち上がり)がはっきりと聞こえ、まるっきり別物に仕上がっています。これは特にアコギのピッキングやハイハットなどの高域で顕著です。また、低域についてもダンスミュージックのごとくキックがしっかり出ていて、今風なサウンド。
つづいて、音場について。本作はDolby Atmos用の処理が行われているため、左右の広がりがワイドになっています。加えて、前述の通り低域・高域ともによく出ているため、上下も高く感じられます。
99年当時のアナログ機材が主流の制作環境では記録しきれなかったと思われる音のディテールが、最新のデジタル機材とエンジニアの技術によって見事によみがえっています!
ただ、誤解しないでいただきたいのは、99年版も素晴らしい出来だということ!私自身、自分の楽曲のミックスやマスタリングの際には、いまだにこのCDをリファレンスとして使っています。
まとめ
以上、発売されたばかりの「First Love(2022 Mix)」と、1999年発表のオリジナル版「First Love」の新旧比較記事でした!
みなさんもこれをきっかけに、23年前のオリジナル版を聞き返してみてはいかがでしょうか?