同人音楽作家のための確定申告ガイド!経費になるのは?基本から徹底解説!

同人音楽作家(ミュージシャン)として日々音楽活動に勤しんでいるみなさま、今年も確定申告の季節がやってまいりました。

確定申告とは、1年間の所得を国に報告し必要な税金を納める手続きのことです。同人活動を行っている場合、CDや楽曲配信の売上などが収入として扱われるため、一定の条件を満たすと確定申告が義務付けられます。

「収入を申告しないと何が起きるの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。これをしないと、税金の未納扱いになり、延滞税や追徴課税が課せられるリスクがあります。また、確定申告では源泉徴収として納めた税金が還付される場合もあり、メリットも大きいのです。

本記事では、ボカロPやDTMerをはじめとする同人音楽作家のみなさまが確定申告を行う際の基本的な手順や注意点を分かりやすく解説します。初めての確定申告に不安を感じている方も、この記事を読めばスムーズに進められるはずです!

目次

確定申告が必要なケースとは?

一般的に同人活動は趣味の範囲内で行われるものであり、多額の利益が発生することは通常ありません。ただ、楽曲がヒットしたりCDがたくさん売れたりして、予想外の売上となる場合もあります。こういったケースでは確定申告が必要となります。

  1. 給与所得がある場合:
    給与所得がある人(会社員など)の場合、給与以外の所得(雑所得や事業所得)が20万円を超えると確定申告が必要です。
  2. 給与所得がない場合:
    フリーランスや専業で活動している人の場合、年間の所得(収入から経費を差し引いた額)が48万円を超えると確定申告が必要です。

同人活動の収入と経費

コミックマーケットが行われる東京ビッグサイト

同人活動の収入例

同人活動で得た収入は原則として課税対象となります。具体的には以下のような収入が該当します。

  • 同人CDやグッズの収益(コミケやM3などの同人即売会、BOOTHなどでの売上)
  • 動画サイトからの収益(YouTubeやニコニコ動画の広告収入など)
  • 配信サイトからの収益(Bandcamp、Spotify、Apple Musicなど)
  • 楽曲提供やライブ出演のギャラとして受け取ったお金

同人活動の経費例

複数のソフト音源

同人活動に関連する支出を「必要経費」として計上することで、課税対象となる所得を減らし、税金の負担を軽減できます。ただし、何でも経費にできるわけではなく、一定のルールがあります。

  1. 音楽制作に関する費用
    • DAW、プラグイン、ソフト音源など
    • オーディオインターフェイス、ヘッドフォン、マイクなど
    • レコーディングスタジオのレンタル料金
  2. 作品制作に関する費用
    • CDのプレス費用やグッズ制作費
    • デザイナーやイラストレーターへの支払い
    • 動画制作の外注費(PVやプロモーション動画など)
  3. 販売および配信に関する費用
    • イベント参加費(サークル参加費など)
    • 配信サービスの手数料(Bandcamp、TuneCoreなど)
    • 梱包資材費(封筒、ダンボール、緩衝材など)
  4. 宣伝およびプロモーション費
    • ポスターやフライヤーの印刷費
    • ウェブサイトの制作・運営費用
    • SNS広告費(Twitter広告、Facebook広告など)
  5. 移動および交通費
    • ライブ出演やイベント参加時の交通費
    • 宿泊が必要な場合の宿泊費
  6. 学習やスキル向上のための費用
    • 音楽に関する講座やセミナーの受講料
    • 楽譜や音楽関連の書籍購入費
  7. その他の必要経費
    • 制作用パソコン
    • 消耗品(プリンターのインク、コピー用紙など)

経費に含める際の注意点

海外プレスで制作された同人CD
  1. 同人音楽活動に直接関係する支出であること
    経費として認められるには、その支出が同人活動に必要であることを証明できる必要があります。趣味や私的利用のための支出は経費に含められません。たとえば、音楽以外の用途で使うパソコンや旅行は対象外になる可能性があります。
  2. 領収書やレシートを必ず保管する
    経費として申告するには、支出を証明する書類(領収書やレシート)が必要です。日付、金額、支払先が記載されていることを確認しましょう。
  3. 自宅作業の場合の按分
    自宅で音楽制作を行っている場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上できる場合があります。ただし、作業スペースの面積や使用頻度に応じて合理的な按分計算を行う必要があります。
  4. 税務調査への備え
    経費として計上した内容が曖昧だった場合、税務署から問い合わせを受けることがあります。不明点がないよう、詳細な記録を残しておきましょう。

経費計上をスムーズにするコツ

  • クラウド会計ソフトを活用する
    弥生会計・freee・マネーフォワードなどを使えば、自動で収支計算を行ってくれます。
  • 日々の記録を習慣化する
    領収書やレシートをその都度記録し、整理しておくことで、確定申告時の手間を大幅に減らせます。
  • グレーゾーンは専門家に相談する
    経費として計上すべきか迷う場合は、税理士に相談するのがおすすめです。
れれれP

私は無料で利用できる「やよいの白色申告」を愛用しています。日々収支を記録することで正確な申告書を作成でき、e-Taxで提出も可能です!

確定申告の基本的な流れ

引用:ぱくたそ

確定申告は初めてだと難しく感じるかもしれませんが、基本的な流れを理解すれば安心して取り組むことができます。この章では、同人音楽作家が知っておきたい確定申告の手順を解説します。

①必要な書類を準備する

まずは、確定申告に必要な書類を揃えましょう。

  • 売上の記録
  • 経費の記録
  • その他の必要書類
    • 源泉徴収票(該当する場合)
    • マイナンバーカードまたは通知カード
    • 銀行口座情報(還付金を受け取る場合)

②収支内訳書を作成する

確定申告の重要なステップとして、収支内訳書を作成します。これは、収入と経費をまとめた書類です。

  • 売上(総収入)
  • 経費(機材費、交通費、宣伝費など)
  • 所得金額(売上-経費)

クラウド会計ソフト(弥生会計、freee、マネーフォワードなど)を活用すると、自動で収支内訳書を作成できるため便利です。

③確定申告書を作成する

次に、確定申告書(主に「確定申告書B」)を記入します。この書類に収支内訳書で計算した所得金額を転記します。

  • 確定申告書には、所得税住民税の計算が含まれます。
  • 還付金が発生する場合もこの書類で申請します。

④確定申告書を提出する

作成した確定申告書を提出します。提出方法は以下のいずれかを選択できます。

  1. e-Taxで提出←オススメ
    オンラインで申告書を提出できるサービスです。自宅から手続きができ、還付金も早めに受け取れるメリットがあります。
  2. 税務署に持参
    税務署の窓口で直接提出できます。不明点があればその場で質問が可能です。
  3. 郵送で提出
    封筒に申告書を入れて郵送します。控えが必要な場合は返信用封筒を同封しましょう。

⑤納税または還付金の受け取り

確定申告の結果、所得税が発生した場合は納税を行います。以下の方法で納付可能です。

  • 銀行や郵便局での支払い
  • クレジットカードやQRコード決済
  • e-Taxを利用したオンライン納税

一方、払いすぎた税金がある場合は、還付金として受け取れます。銀行口座情報を正確に記載しておきましょう。

気を付けるべきポイント

引用:ぱくたそ

確定申告では、書類の不備や記録漏れがあると後から問題が発生することがあります。以下のポイントに気を付けることでスムーズに申告を行うことができます。

領収書やレシートの保存を徹底する

必要経費を証明するためには領収書やレシートが必須です。以下の点に注意しましょう。

  • 保存期間:領収書やレシートは原則として5年間、場合によっては7年間保存する必要があります。
  • 情報の確認:領収書には日付、金額、支払先が記載されているか確認しましょう。
  • 電子化の活用:紙の領収書をスキャンしてクラウドサービス(Dropbox、Google Driveなど)に保存すると管理が楽になります。

売上と経費の記録を正確に行う

収支の記録を怠ると、後で申告書を作成する際に苦労します。日々の記録を習慣化することが大切です。

  • 記録ツール:クラウド会計ソフトを活用することで、自動で売上や経費を分類できます。
  • 記録の頻度:売上や経費を発生した日ごとに記録することで、後から思い出す手間を省けます。
  • 現金とクレジットカードを区別する:支払い手段を分けて記録すると、計算ミスを防げます。

期限を守る

令和6年(2024年)分の提出期限は2025年3月17日(月)です。

  • 早めに準備を始める:収支の記録や書類の整理は年末までに済ませるのが理想です。
  • 延長申請の活用:やむを得ない事情がある場合、期限延長を申請できる場合もあります。

税務調査に備える

税務調査は、確定申告の内容が疑わしい場合に行われます。調査対象となる可能性を低くするために、以下の点に気を付けましょう。

  • 収支の矛盾をなくす:売上と経費の記録に不自然な点がないか確認する。
  • 説明できる記録を残す:領収書や契約書など、支出や収入の根拠となる資料を整理しておく。
  • 売上を漏らさない:プラットフォームやイベントごとに売上を記録し、すべて申告する。

税理士や専門家に相談する

確定申告に不安がある場合は、税理士に相談するのが最善です。特に次の場合は専門家の助けを借りることを検討しましょう。

  • 複数の収入源があり、計算が複雑な場合
  • 青色申告や節税対策を希望する場合
  • 過去に申告漏れがあり、修正申告が必要な場合

税理士の費用はかかりますが、節税効果や手続きの効率化を考えると十分に価値があります。

まとめ

確定申告は、同人音楽作家として活動を続ける上で避けて通れない重要な手続きです。一見すると難しく感じるかもしれませんが、適切な準備と知識を持てば、スムーズに進めることができます。そして何よりも、確定申告は単なる義務ではなく、自身の活動を振り返り、収支を整理する貴重な機会でもあります。

今回のガイドで解説した内容を参考に、効率的かつ確実に申告を終えるためのヒントを見つけていただければ幸いです。領収書の保存や記録の整理など、日々の取り組みを習慣化することで、翌年の申告作業をさらに楽にすることも可能です。

最後に、確定申告は1人で抱え込む必要はありません。不明点や迷いがあれば、税務署や税理士、または同じクリエイター仲間と情報交換をしながら進めてみてください。多くの人が同じ道を通ってきた経験を共有し、助け合うことで、確定申告がもっと身近で心強いものになります。

これからの音楽制作と活動がさらに充実したものになることを願っています。自分らしい作品を発信し続け、多くのリスナーに感動を届けてください!

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